ノートパソコンのCPUで、2025年のエース格となるIntelのCPU
- Intel Core Ultra 200Vシリーズ
- Intel Core Ultra 200Hシリーズ
について、両方とも搭載しているノートパソコンの実機レビューをする機会があり、違いが見えてきたので、違いや、どちらがおすすめか?について解説します。
どちらも、性能はとても高くおすすめです。実際に実機レビューしてみた違いの感想としては
Intel Core Ultra 200Vシリーズ:バランスが良い。省電力・AI・グラフィック性能に優れる
Intel Core Ultra 200Hシリーズ:パフォーマンス重視、動画編集など高負荷作業に優れる
という違いがあるので、詳しく解説していきます。
両方触ってみた感想としては、バランスが良くノートパソコンの携帯性と相性が良いのはIntel Core Ultra 200Vのほうで、私が買うとしたら200Vシリーズのほうだなと思っていますが、なぜそう感じたかも解説をしていきます。
実際に実機レビューした機種は以下の2台です。
Intel Core Ultra 200Vシリーズ:HP OmniBook X Flip 14-fm
OS | Windows 11 Home |
CPU | インテル® Core™ Ultra 5 プロセッサー 226V, インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 258V |
メモリ | 16 ~ 32GB |
グラフィックス | インテル® Arc™ グラフィックス 130V, 140V |
ディスプレイ | 14.0インチ・2.8K・OLED タッチディスプレイ (2880×1800 / 16:10 / 400nit / DCI-P3 100% / 48~120Hz / 最大10.7 億色) |
SSD | 512 GB ~ 1TB SSD |
無線LAN | IEEE802.11be(Wi-Fi 7)、Bluetooth 5.4 |
電源 | 65W USB Type-C™ スリムACアダプター (動作電圧:100-240 VAC、動作周波数:50-60 Hz) |
外形寸法 | 約 313 × 218× 14.6-16.9 mm |
駆動時間 | 最大17時間30分 |
重量 | 1.39kg |
その他 | HP リチャージャブル MPP2.0 アクティブペン |
価格 | 14万円台~ |
Intel Core Ultra 200Hシリーズ:Lenovo Yoga Pro 7i Gen10 Aura Edition(14型 Intel)
OS | Windows 11 Home |
CPU | インテル® Core™ Ultra 7 255H, インテル® Core™ Ultra 9 285H |
メモリ | 32 GB LPDDR5X-8533MT/s (オンボード) |
ディスプレイ | 14.5インチ 3K OLED(有機ELディスプレイ) (3000 x 1872) 汚れ防止, マルチタッチパネル, HDR600 True Black, 100%DCI-P3, 500 nit, 120Hz, ガラス |
SSD | 1 TB SSD M.2 2242 PCIe-NVMe Gen4 TLC |
無線LAN | Wi-Fi 7対応 (IEEE 802.11be/ax/ac/a/b/g/n準拠) 2×2 & Bluetooth® |
Webカメラ | 500万画素&IRカメラ、デュアルマイクロホン |
電源 | 100W スリム ACアダプター (3ピン) USB Type-C |
外形寸法 | 約 325.3×228.1×16.9mm(最薄部) |
駆動時間 | 84 Whr |
重量 | 1.54kg |
価格 | 18万円~ |
レビュー記事はこちらです。どちらもおすすめの機種です。


基本スペック比較

まずは基本スペックについて比較します。(ChatGPTさんにまとめてもらいました)
項目 | Core Ultra 200Vシリーズ(V) | Core Ultra 200Hシリーズ(H) |
---|---|---|
コードネーム | Lunar Lake | Arrow Lake |
最大TDP | 約17W(省電力向け) | 約28〜45W(高性能ノート向け) |
対象デバイス | 軽量モバイルノート、AI PC(Copilot+) | ゲーミングノート、クリエイティブ用途 |
NPU性能 | 最大47TOPS(Copilot+ PC基準) | 最大10TOPS前後 |
GPU | Intel® Arc™ 130,140V GPU | Intel® Arc™ 130,140T GPU |
メモリ | LPDDR5Xオンパッケージ | DDR5 / LPDDR5X |
特徴 | 高い電力効率とAI性能に最適化 | 高性能マルチタスク処理向け |
冒頭で紹介した
Intel Core Ultra 200Vシリーズ:バランスが良い。省電力・AI・グラフィック性能に優れる
Intel Core Ultra 200Hシリーズ:パフォーマンス重視、動画編集など高負荷作業に優れる
と同じ結果と言えますね。
パフォーマンス比較

Intel Core Ultra 200Vシリーズと200Hシリーズのパフォーマンス比較をします。
CPUベンチマークのCineBench2024の実測値スコアは以下でした。
CPU | マルチコア | シングルコア |
Ryzen AI 9 HX 375 | 1100 | 114 |
Intel Core Ultra 9 285H | 1035 | 124 |
Ryzen AI 9 365 | 1016 | 113 |
Intel Core Ultra 5 225H | 818 | 118 |
Intel Core Ultra 7 258V | 561 | 121 |
Ryzen 5 8645HS | 734 | 104 |
Ryzen 7 6800U | 631 | 85 |
単純なCPUベンチマークだと、200シリーズのほうが優れているといえます。
ただシングルコアのスコアは互角で、実際の快適性やレスポンスは、マルチコアほどの違いは全く感じない、むしろ同じくらいと感じます。
省電力性能

Intel Core Ultra 200Vシリーズと200Hシリーズで、
以下の条件にてバッテリー駆動時間のチェックを行いました。
- 輝度MAX
- youtube動画流しっぱなし
Intel Core Ultra 7 258V:HP OmniBook X Flip 14-fm

バッテリー容量 | 59Whr |
---|---|
残量0%まで | 12時間12分 |
Intel Core Ultra 9 285H:Lenovo Yoga Pro 7i Gen10 Aura Edition(14型 Intel)

バッテリー容量 | 84Whr |
---|---|
残量0%まで | 7時間51分 |
Intel Core Ultra 200Vシリーズの省電力性能は圧倒的に優れる
省電力性能で比較すると、Intel Core Ultra 200Vシリーズのバッテリー持ちは圧倒的に良いです。
持ち運んで電源のない環境で使う機会が多いなら、200Vシリーズのほうが優秀です。
AI・CPU性能

Intel Core Ultra 200V、200Hシリーズとも、NPUというAI処理を専門に行うプロセッサーを搭載しています。
TOPSとは、「Tera Operations per Second」の略称で、「システムが1秒間に何兆回の演算を実行できるか」を示します。
例えば、10TOPSならば、1秒間に10兆回の演算が実行できるコンピューティングパワーを表します。1秒間に10兆回の演算性能を持つCPUなら、「10TOPS」となります。
CPU | TOPS |
GeForce RTX 4060 | 242 TOPS |
AMD Ryzen AI 9 HX 375 | 55 TOPS |
AMD Ryzen AI 9 365 | 50 TOPS |
AMD Ryzen AI 7 350 | 50 TOPS |
AMD Ryzen AI 5 340 | 50 TOPS |
Intel Core Ultra 7 258V | 47 TOPS |
Intel Core Ultra 5 226V | 40 TOPS |
Intel Core Ultra 9 285H | 13 TOPS |
Intel Core Ultra 7 255H | 13 TOPS |
Intel Core Ultra 5 225H | 13 TOPS |
Intel Core Ultra 7 155H | 11 TOPS |
TOPSの値は上記の通りで、外部GPUが圧倒的に高いのですが、2025年最新のCPUであれば、外部GPUなしでも十分に高い値となっています。
40TOPS以上であれば、マイクロソフトが定義している「Copilot+ PC」の基準を満たすので、40TOPS以上が高いAI性能を持つPCと言えます。
NPU性能は、200Vシリーズのほうが優れます。
ローカルLLM(大規模言語モデル)を用いての生成AIプログラミング検証

AI能力を見るのに、ChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)の簡易版をローカルPCに構築して、生成AIプログラミングを動かす検証を行いました。
ローカルLLMは、Gemma3というGoogleのLLMを活用しています。
Pythonで、ブロック崩しゲームを作ってほしいとリクエストしています。
結果は以下の通りです。
ローカルLLM(Gemma3)でブロック崩しゲームを作るのにかかった時間
CPU+メモリ | 掛かった時間 |
Gemini 2.5 Pro(クラウド) | 35秒 |
Intel Core Ultra 9 285H + メモリ32GB | 3分52秒 |
Intel Core Ultra 7 258V + メモリ32GB | 5分1秒 |
Intel Core Ultra 5 225H + メモリ16GB | 5分57秒 |
AMD Ryzen 7 6800U + メモリ16GB | 6分5秒 |
こちらはNPUの性能はあまり関係なく、200Hシリーズのほうが優秀でした。
NPU性能をフル活用できるアプリが、まだ少ないという印象です。
そのためAI(NPU)性能は、まだそこまで気にしなくてもよいと言えます。
グラフィック性能

グラフィック性能は、200V、200Hシリーズともに、凄く優秀です。
3Dグラフィック性能ベンチマーク 3DMark FireStrikeのスコアは以下の通りです。
めやすとしてはGeForce GTX 1650、1060がエントリー向けグラフィックボードとなります。
グラフィックボード | 3DMark Fire Strike |
GeForce RTX 3080 Ti | 38323 |
GeForce RTX 3080 | 36176 |
GeForce RTX 4070(Laptop) | 27898 |
GeForce RTX 4060 | 27500 |
GeForce RTX 3060 | 20764 |
GeForce RTX 4050 Laptop | 18579 |
GeForce RTX 3050 Ti | 14911 |
GeForce GTX 1060 | 12500 |
Intel Core Ultra 9 285H(CPU内蔵) | 10702 |
Intel Core Ultra 7 155H(CPU内蔵) | 9747 |
Intel Core Ultra 7 258V(CPU内蔵) | 9702 |
AMD Ryzen AI 9 365 | 9675 |
AMD Ryzen AI 9 HX 375 | 9617 |
GeForce GTX 1650 | 9000 |
AMD Ryzen 7 8840HS(CPU内蔵) | 8503 |
Intel Core Ultra 5 125H(CPU内蔵) | 8488 |
Intel Core Ultra 7 155H(CPU内蔵)メモリ16GB | 7900 |
Intel Core Ultra 5 255H(CPU内蔵) | 7807 |
AMD Ryzen 7 8840U(CPU内蔵) | 7600 |
AMD Ryzen 7 8840HS(CPU内蔵)(HP) | 7495 |
AMD Ryzen 5 8645HS(CPU内蔵) | 6771 |
AMD Ryzen 7 6800U(CPU内蔵) | 6666 |
AMD Ryzen 5 8640U(CPU内蔵) | 6376 |
AMD Ryzen 7 7735HS(CPU内蔵) | 6261 |
Intel Core Ultra 7 155U(CPU内蔵) | 5401 |
機種によって若干のバラつきはありますが、ほぼ互角でとても優秀です。
これくらいの性能があれば、中量級の3Dゲーム、例えばドラクエ3 HD-2Dリメイクなどは余裕をもって遊ぶことができるだけの性能があります。
実際のアプリでの性能比較
PCMark10:実際のアプリ性能

PCMARK10は、実際のアプリケーションを使用したベンチマークソフトで、実際にパソコンを使った時の作業快適性を計測するのに適しているといわれているベンチマークです。
測定結果は以下の通りです。
CPU | トータルスコア |
Ryzen AI 9 HX 375 | 7751 |
Intel Core Ultra 9 285H | 7615 |
Intel Core Ultra 7 258V | 6948 |
Ryzen 5 8645HS | 6865 |
Intel Core Ultra 5 225H | 6762 |
Ryzen 7 8840HS | 6600 |
Intel Core Ultra 7 155H | 6465 |
Intel Core Ultra 7 155U | 5915 |
これも、両方ともとても優秀なスコアです。
トータルスコアが5000も超えていたら、普段使いでストレスを感じるようなことはまずなくとても高いスコアと言えますが、7000前後のスコアがあります。
実際に使ってみてもレスポンスは極めて快適です。
Davinci ResolveでのYouTube動画書き出し時間

動画編集ソフトDavinci Resolveで、5分45秒のフルHDのYouTube動画書き出し時間にかかった時間を計測しました。
以前までDavinci Resolveバージョン18で計測していたのですがバージョン19が出てしばらく経ったので、19に切り替えて計測しています。
18→19にバージョンアップすることで以前よりもかなり書き出し速度が向上しています。
そのため18での計測結果が比較にならず・・・19での計測結果のみ載せています。
CPU | 時間 |
Intel Core Ultra 7 155H+GeForce RTX 4050 Laptop | 38秒 |
Intel Core Ultra 9 285H | 48秒 |
Intel Core Ultra 7 258V | 52秒 |
AMD Ryzen AI 9 365 | 54秒 |
AMD Ryzen AI 9 HX 375 | 57秒 |
AMD Ryzen 7 7735HS | 1分11秒 |
AMD Ryzen 5 8645HS | 1分16秒 |
Intel Core Ultra 5 225H | 1分24秒 |
AMD Ryzen 7 6800U | 1分32秒 |
AMD Ryzen 5 7535HS | 1分42秒 |
Intel Core Ultra 7 155U | 2分22秒 |
書き出し速度は両方とも、凄く速い結果になりました。
外部GPUありには劣るものの、迫るスピードがあります。
200VシリーズのほうはCPUのピーク性能がさほどではないにもかかわらずここまで早いのは、グラフィック性能が高くそれを活かせているからではないかと推測します。
実際に購入する場合はどちらを選ぶとよい?


ここまでが実際の振り返り結果ですが
Intel Core Ultra 200Vシリーズ:バランスが良い。省電力・AI・グラフィック性能に優れる
Intel Core Ultra 200Hシリーズ:パフォーマンス重視、動画編集など高負荷作業に優れる
ということで、どちらも優秀なCPUですが、
200Vシリーズのほうが、実際のアプリの動作性能と省電力性能のバランスがよいです。
私の意見としては、ノートパソコンの携帯性によりマッチするのは、Intel Core Ultra 200Vシリーズのほうで、私が買うとしたらこっちかなと思います。
200Hシリーズはより性能が欲しくて、あまり持ち運ばない据え置き用途に良いでしょう。
Intel Core Ultra 200Vシリーズ:HP OmniBook X Flip 14-fm
上記の機種は、Intel Core Ultra 200Vシリーズを搭載した機種としては素晴らしく出来やバランスがよく、2025年の今年1押しの機種と感じていますので、興味があったらチェックしてみてください。
レビュー動画も作成しています。