ノートパソコンのCPUについて、どの程度の性能や種類のCPUを選べばよいか?
ノートパソコンは数年単位で買い換えるものなので、CPUの選び方や、IntelとAMDではどちらがよいか?などが分からないと思います。
当記事ではIntelとAMDの比較や、どのCPUが一番お買い得か?を詳しく解説します。
結論から言うと
- IntelとAMDどちらを選んでも問題なし
- コスパはAMDが上
- 予算があるならIntel Core Ultraがおすすめ
と言えますが理由について詳しく解説していきます。
コスパならAMD・予算があるならIntel Core Ultra

私がノートパソコンレビューで実測値をとってきた、PassMarkというCPUベンチマークスコアを紹介します。
CPU | PassMarkスコア |
Core i7-13700HX | 34286 |
Core i7-13700H | 30030 |
Ryzen 7 8845HS | 29904 |
Ryzen 7 8840HS | 24445 |
Core Ultra 7 155H | 25160 |
Ryzen 7 8840U | 23821 |
Core Ultra 5 125H | 21300 |
Ryzen 5 8640U | 20772 |
Core Ultra 7 155U | 16577 |
Core Ultra 5 125U | 17750 |
Ryzen 7 7735U | 21082 |
Core i5-1340P | 20106 |
Core i7-1360P | 19600 |
Ryzen 7 7730U | 18864 |
Core i7-1260P | 17257 |
Core i5-1240P | 17345 |
Core 5-120U | 17292 |
Ryzen 5 7535U | 17123 |
Core i5-1335U | 16814 |
Ryzen 5 7530U | 16509 |
Ryzen 5 5625U | 15000 |
Core i5-1235U | 13865 |
Core i3-1315U | 13755 |
Ryzen 3 7330U | 11816 |
Core i7-1165G7 | 10681 |
Core i5-1135G7 | 10298 |
Ryzen 3 5300U | 10000 |
Ryzen 5 7520U | 9489 |
Intel N100 | 5657 |
Intel Celeron 7305 | 2665 |
事務作業でブラウザをたくさん立ち上げ、かつ重いアプリを複数立ち上げたまま快適に使うのであれば、スコア10000以上あると十分快適に使えます。
2024年の今購入するなら、15000以上のCPUを選ぶと、4年は快適に使えるでしょう。
めやすはRyzen 5 7530U以上です。
2023年はIntel13世代が登場し、性能は若干、Intelが優勢ですが大差はなく、コスパならAMDのほうが良いので、Intel・AMD好みで選べばよい状況です。
コスパを求めるならAMDです。同じ性能であればIntelよりもAMDが安い傾向にあります。
特にRyzen 5は、性能に対するコスパが良いです。
- AMD Ryzen 5 8640U
- AMD Ryzen 5 8640HS
- AMD Ryzen 5 7530U
このあたりはコスパも良くおすすめです。
Intelは、2024年に発売されたIntel Core Ultra HシリーズのCPUが、性能も高く、省電力性能も高いので総合力が高いです。
ただしAMDより価格が高い傾向にあり、予算があるならおすすめです。
CPUはIntel/AMDどちらでもよい

上記のPassMarkのスコアを見ればわかる通り、CPUはIntel、AMDどちらを選んでもよいです。
2023年時点の最新世代では、IntelのほうがAMDよりも性能は若干上ですが、普段使いではどちらを選んでも大差はありません。
Intel・AMDのCPUベンチマーク結果
私が過去実機レビューで計測してきた、各CPUのPassMark(マルチ・シングル)を紹介します。
CPU | マルチ | シングル |
Core i7-13700HX | 36225 | 3955 |
Ryzen 7 8840HS | 27215 | 3796 |
Ryzen 7 6800H | 25955 | 3458 |
Core Ultra 7 125H | 24100 | 3845 |
Core Ultra 5 125H | 24554 | 3636 |
Ryzen 7 8840U | 23428 | 3822 |
Ryzen 5 8640U | 22006 | 3585 |
Core i5-1340P | 21578 | 3742 |
Core Ultra 7 155U | 19232 | 3678 |
Core Ultra 5 125U | 19263 | 3499 |
Core i7-1260P | 21696 | 3540 |
Ryzen 7 6800U | 21461 | 3459 |
Ryzen 7 7735U | 21278 | 3419 |
Ryzen 7 7730U | 21446 | 3258 |
Ryzen 7 5800U | 18644 | 3108 |
Core i5-1335U | 17694 | 3684 |
Core i5-1235U | 16601 | 3465 |
Ryzen 5 5625U | 16933 | 3138 |
Core i7-1250U | 13518 | 3557 |
Core i7-1165G7 | 11005 | 3142 |
2023年までは、IntelのCPUのほうが、シングルスレッドでのスコアが少し高い傾向にありましたが、2024年でIntel・AMDともにほとんど、差がなくなりました。
そのため最新CPUであれば、Intel・AMDどちらを選んでも大差ないです。
各種アプリケーションのIntel・AMDの性能

純粋なCPU性能でなく、実際のアプリを動作させたときのパフォーマンスを測定するベンチマークに、PCMARK10というものがあるので、レビューでの測定結果を紹介します。
レノボ Yoga 7i 2-in-1 Gen9(Intel Core Ultra 7 155H)
レノボ Yoga 7 2-in-1 Gen9(AMD Ryzen 7 8840HS)
同シリーズの機種で、Intel版とAMD版で、ともに高性能CPUの実機レビューをしていますので結果をもとに解説します。
計測内容 | Yoga 7i(Intel) | Yoga 7(AMD) |
トータル | 6825 | 6929 |
App Start-up Score(アプリ起動) | 16262 | 15970 |
Video Conferencing Score(Web会議) | 8610 | 8496 |
Web Browsing Score(Web閲覧) | 9706 | 9600 |
Spreadsheets Score(表計算) | 10329 | 13384 |
Writing Score(文書作成) | 7445 | 6122 |
Photo Editing Score(画像編集) | 13770 | 13129 |
Rendering and Visualization Score(レンダリング) | 7331 | 9345 |
Video Editing Score(動画編集) | 6949 | 6215 |
2023年までは、Intelが強い部分、AMDが強い部分が明確に出ていたのですが、2024年、その差が少なくなっていると感じます。
各計測内容ごとに、どちらのCPUが有利かを載せます。
計測内容 | Intel | AMD |
App Start-up Score(アプリ起動) | 大差なし | 大差なし |
Video Conferencing Score(Web会議) | 大差なし | 大差なし |
Web Browsing Score(Web閲覧) | 大差なし | 大差なし |
Spreadsheets Score(表計算) | 〇 | |
Writing Score(文書作成) | 〇 | |
Photo Editing Score(画像編集) | 大差なし | 大差なし |
Rendering and Visualization Score(レンダリング) | 〇 | |
Video Editing Score(動画編集) | 〇 |
スコアの傾向を見ると上記表の通りで、わずかな違いです。
表計算はAMD、文書作成や動画編集はIntelのほうが性能が高いですが、実機レビューをしていた感触としてはそこまでの違いは感じません。
なので、気にしすぎる必要は全くなく、ベンチマークの性能が同じくらいであれば安いほうの購入でよいと言えます。
コスパはAMDのほうがIntelよりも上
同一機種で、AMDとIntel両方を搭載した機種がラインナップされていることがあります。
大抵の場合、AMDのほうが、Intelよりも安いです。
OS | Windows11 Home(64bit) |
CPU(Intel) | インテル® Core™ Ultra 5 125H、Core™ Ultra 7 155H、Core™ Ultra 9 185H |
CPU(AMD) | AMD Ryzen 7 8845HS |
メモリ | 16GB~32GB LPDDR5X-7467MHz (オンボード) |
ストレージ | 512~1TB GB SSD, M.2 PCIe-NVMe Gen 4 TLC |
液晶(IPS) | 14インチ 2.8K液晶 (2880 x 1800) IPS, 光沢なし, マルチタッチ非対応, 100%sRGB, 400 nit, 120Hz, ブルーライト軽減パネル |
液晶(OLED) | 14インチ 2.8K OLED(有機ELディスプレイ) (2880 x 1800) 光沢あり, マルチタッチ非対応, HDR500, 100%DCI-P3, 400 nit, 120Hz |
重量 | 約 1.46kg |
サイズ | 約 312x221x15.99mm(最薄部) |
バッテリー | 84Whr 動画再生時 約 10.4 時間・アイドル時 約 24.9 時間 |
価格 | 12万円台~ |
上記は2024年発売のレノボ IdeaPad Pro 5/5i Gen9ですが、IntelとAMD両方がラインナップされています。
AMD版の価格:12.48万円(AMD Ryzen 7 8845HS)

Intel版の価格:14.48万円(Intel Core Ultra 5 125H)

ディスプレイを有機ELで比較すると、AMDのほうが2万円安いです。
それではIntel版に2万円以上の価値があるか?というと、大差がないと感じます。
そのため私がノートパソコンを買うときは、いつもコスパを優先してAMD版を購入しています。
省電力性能(バッテリー持ち)はIntel Core Ultraが上

2024年にIntel Core Ultraシリーズが発売され、省電力性能が一気に向上しました。
そのため、バッテリー持ちであれば、Intel Core UltraのほうがAMDよりも上です。
Intel Core Ultra版
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ Ultra 5 125U, Core™ Ultra 7 155U |
メモリ | 16~32GB |
ディスプレイ(OLED) | 14.0インチ・2.8Kブライトビュー・OLEDタッチディスプレイ(2880×1800 / 16:10 / 400nit / 48~120Hz) |
ディスプレイ(IPS) | 14.0インチ・WUXGA非光沢・IPSタッチディスプレイ(1920×1200 / 16:10 / 400nit / 60Hz) |
SSD | 512GB~1TB PCIe® Gen4 NVMe™ M.2 SSD |
光学ドライブ | なし |
無線LAN | IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6E対応) |
Bluetooth | Bluetooth(Ver5.3) |
Webカメラ | 5MP IR カメラ (約500万画素) |
認証 | 顔認証 |
外形寸法(mm) | 約 313 × 218× 16.9 mm(最厚部) |
駆動時間 | 最大15時間(IPS)、10.5時間(OLED) |
重量 | 1.39kg |
価格 | 16万円台~ |
AMD版
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | AMD Ryzen™ 5 8640HS, Ryzen™ 7 8840HS |
メモリ | 16~32GB |
ディスプレイ(OLED) | 14.0インチ・2.8Kブライトビュー・OLEDタッチディスプレイ(2880×1800 / 16:10 / 400nit / 48~120Hz) |
ディスプレイ(IPS) | 14.0インチ・WUXGA非光沢・IPSタッチディスプレイ(1920×1200 / 16:10 / 400nit / 60Hz) |
SSD | 512GB~1TB PCIe® Gen4 NVMe™ M.2 SSD |
光学ドライブ | なし |
無線LAN | IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6E対応) |
Bluetooth | Bluetooth(Ver5.3) |
Webカメラ | 5MP IR カメラ (約500万画素) |
認証 | 顔認証 |
外形寸法(mm) | 約 313 × 218× 16.9 mm(最厚部) |
駆動時間 | 最大14.5時間(IPS)、10.5時間(OLED) |
重量 | 1.39kg |
価格 | 12万円台~ |
上記はHPのハイエンドの2-in-1ノートパソコンHP Envy x360 14で、Intel Core UltraとAMDの両方がラインナップされています。
バッテリーは59.1Whrと、比較的大きいバッテリー容量となります。
以下の条件にてバッテリー駆動時間のチェックを行いました。
- 輝度MAX
- youtube動画流しっぱなし
メーカー公称時間 | 最大10.5時間 |
---|---|
残量0%まで(Intel) | 6時間22分 |
残量0%まで(AMD) | 5時間54分 |
結果は上記の通りで、Intel版のほうがバッテリー持ちは優秀です。
電源のないところで長い時間作業することが多い場合、Intel Core Ultraを選ぶとよいでしょう。
IntelのCPUの選び方

ここからはIntelのCPUについて、選び方を解説します。
2024年はIntel Core Ultraが主流
2024年のノートパソコンに搭載されるCPUとして、Intel Core Ultraシリーズが登場しました。
- Intel Core Ultra 7 155H
- Intel Core Ultra 5 125H
特に上記の2つは、性能もよく、特にグラフィック性能の向上が素晴らしいです。

最近発売されたドラクエ3リメイクくらいの必要スペックのゲームであれば普通に遊べるくらいの性能があり、動画編集や軽めのゲームにもおすすめのCPUです。
IntelのCPUの種類(HX/H/P/U):2023年まで
IntelのCPUは、名前の末尾にHX/H/P/Uというアルファベットがついており、アルファベットが種類を表しています。
種類 | 特徴 |
HXシリーズ | 超高性能・ゲーミング用途 |
Hシリーズ | 高性能・ゲーミングや動画編集などの用途 |
Pシリーズ | 性能・省電力・価格のバランスが良い。スタンダード・モバイルノートパソコン用途 |
Uシリーズ | 性能は控えめ・省電力性能に優れる。モバイルノートパソコンや低価格ノートパソコン用途 |
- Intel Core i7-13700HX:HXシリーズ
- Intel Core i5-13500H:Hシリーズ
- Intel Core i5-1340P:Pシリーズ
- Intel Core i5-1335U:Uシリーズ
という見分け方になります。
種類 | 性能 | 価格 | 省電力 |
HXシリーズ | 超高性能 | 高い | 凄く悪い |
Hシリーズ | 高性能 | 高い~普通 | 悪い |
Pシリーズ | 高性能~普通 | 普通 | 普通 |
Uシリーズ | 低い~普通 | 安い | 良い |
特徴としては上記です。
ノートパソコンのCPUとしておすすめなのは、性能と価格のバランスが良いPシリーズです。
ただし用途としてモバイル性能を重視したいならUシリーズですし、ゲーミングならHXシリーズとなります。
性能の違いについて
IntelのCPUには、Core i3、i5、i7 など、iの後ろに数字がついています。
この数字が、相対的な性能を表しています。
同じ世代であれば
i7 > i5 > i3
という性能差になっています。
世代について
CPUを選ぶ際の注意点として世代があります。
Intel Core i5-[13]40P
→上記の[13]の部分が、世代を表しており、13世代となります。
2024年はIntel Core Ultraが登場したことにより、このシリーズが最新のCPUになります。
ベンチマークスコアを見てもらえばわかりますが、世代が1世代違うと性能が相当に変わります。
CPU | PassMarkスコア |
Core i5-1340P | 20595 |
Core i7-1360P | 19600 |
Core i5-1335U | 17352 |
Core i7-1260P | 17257 |
Core i5-1240P | 17345 |
Core i5-1235U | 13865 |
Core i3-1315U | 13755 |
Core i7-1165G7 | 10681 |
Core i5-1135G7 | 10298 |
11世代のCore i7は、13世代のCore i3に性能が負けています。世代が違うとそれくらいの性能の違いが出てくるということです。
そのため、パソコンを選ぶときにはCPUの世代をよくチェックしましょう。
おすすめは最新世代、安ければ1世代前も可です。
AMDのCPUの選び方

AMDのCPUについて、選び方を解説します。
AMDのCPUの種類(HX/HS/U)
AMDのCPUは、名前の末尾にHX/HS/Uというアルファベットがついており、アルファベットが種類を表しています。
種類 | 特徴 |
HXシリーズ | 超高性能・ゲーミング用途 |
HS/Hシリーズ | 高性能・ゲーミングや動画編集などの用途。あまり見かけない |
Uシリーズ | 性能・省電力・価格のバランスが良い。スタンダード・モバイルノートパソコン用途 |
- AMD Ryzen 7 7745HX:HXシリーズ
- AMD Ryzen 6 6800H:H/HSシリーズ
- AMD Ryzen 7 7735U:Uシリーズ
という見分け方になります。
種類 | 性能 | 価格 | 省電力 |
HXシリーズ | 超高性能 | 高い | 凄く悪い |
H/HSシリーズ | 高性能 | 高い~普通 | 悪い |
Uシリーズ | 普通 | 普通 | 良い |
特徴としては上記です。
ノートパソコンのCPUとしておすすめなのは、性能と価格のバランスが良いUシリーズです。
ただし用途としてゲーミング性能を重視したいならHXシリーズとなります。
性能の違いについて
AMDのCPUには、Ryzen 3、5、7 など、後ろに数字がついています。
この数字が、相対的な性能を表しています。
同じ世代であれば
7 > 5 > 3
という性能差になっています。
おすすめは、性能と価格のバランスがよい、5です。
世代について
CPUを選ぶ際の注意点として世代があります。
AMD Ryzen 7 [7735]U
→上記の[7735]の部分が、世代を表しています。
ただし・・・AMDの場合はIntelほどの分かりやすさがなく(汗)
数字が大きいほど、新しい世代、くらいの見方となります。
- Ryzen 7 [7735]U:7000番台シリーズ、最新
- Ryzen 7 [6800]U:6000番台シリーズ、1世代前
- Ryzen 7 [5800]U:5000番台シリーズ、2世代前
というような世代の違いがあります。
ただしAMDの場合、5000番台~7000番台で、性能に大差がなく、5000番台以上のCPUであれば普段使いには問題ありません。
デチューンされたCPUに注意!
AMDは、4桁の数字で、妙にデチューンされて性能が抑えられているCPUが存在します。
ぱっと見、数字だけだと判断できないので、そういったCPUの購入は注意が必要です。
CPU | PassMarkスコア |
Ryzen 7 7735U | 21082 |
Ryzen 7 7730U | 18864 |
Ryzen 5 7530U | 16509 |
Ryzen 3 7330U | 11816 |
Ryzen 3 5300U | 10000 |
Ryzen 5 7520U | 9789 |
Ryzen 3 7320U | 9175 |
例えば
- Ryzen 5 7530U
- Ryzen 5 7520U
だと、数字がほとんど同じなので性能も変わらないだろうと思いきや、性能に大差がありmす。

公式ページのスペック表を見ていると、CPUのコア数とスレッド数が7520Uは減らされており、その分性能が抑えられているということになります。
CPUはIntel・AMDどちらがよいか?のまとめ

- Intel・AMDどちらを選んでもよい
- 2024年現在IntelとAMDの性能は大差なし
- バッテリー持ちはIntel Core Ultraが上
- 価格はAMDが安い
- コスパ優先ならAMD
私自身はコスパ重視で、私用PCはAMDを選んでます。
関連記事
Follow @SubieSE

