私は、SIerと呼ばれるシステムインテグレータに十数年勤務しています。
企業規模は社員1000人~なので、いわゆる大企業に分類される会社ですが、業界最大手ではなく、SIerとしては中堅の立ち位置の会社です。
そんな現役SEである私が、SIerの年収や残業の実態をお話しようと思います。
ネットでは、IT業界は新3K(きつい、帰れない、給料安い)とか、SIerはブラックだ、多重下請け構造だ、とか、散々ですが(汗)
私としては、SIerはネットで叩かれているほどひどくはない、むしろ年収だけみれば、まあまあ良いほうなのでは?と感じています。
正しい現役SEの経験をを紹介できればと思います。
SIer勤務SEはワークライフバランス的にはどうなのか?については別途記事を書いているので、参考にしてみてください。

そもそもSIerってなにをする会社?
SIerとはシステムインテグレータのことで、システム開発・保守・運用に関わる業務すべてを請け負う企業のことです。
IT業界に携わったことがない人は、この説明では「?」という感じになるかもしれません。
もう少し具体的に話をすると
「日本の企業が、業務に必要なシステムを作って運用していきたいけど、自社で開発・運用するのは難しい。そのときに、SIerにお金を払って委託すれば、SIerがほぼすべてやってくれる」
大まかにいうと、SIerの役割はこんな感じです。
日本の大企業には情報システム部門がほぼ必ずあるが、自社だけでシステムを開発・運用している企業はほぼないのではないでしょうか?
大抵はSIerと呼ばれる企業が委託されて、開発・運用を行っています。
私が勤務している会社も、まさにそんな感じの仕事をしています。
SIerの年収について
さてここからが本題ですが
私の30代後半の年収は大体650~750万程度でした。
年齢も40台に突入、多少ながら昇格もして、今年の年収は850~900万程度となる見込みです。
勤務している企業は社員数1000人~なので分類的には大企業、業界最大手ではなく、中堅に位置する企業です。
役職(役割)的にはチームリーダーなのでチームを率いる立場、管理職の一歩手前となり、裁量労働となって残業代が原則出なくなりました・・・
2017年の国税庁「民間給与実態統計調査」では、30代後半男性の平均年収は517.3万のようなので、それよりはまあまあ高い、と言えるのではないでしょうか。
517.3万は、確か30歳くらいで達していた記憶があります。
大手SIerならば、大体私と同じくらいか、むしろ業界最大手なら更に高いでしょう。
SIerは、現状超人気業界というわけでもないと思うので、割と入りやすい会社で年収がそれなりを確保できる企業ではないかと思います。
SIerの残業について
私の昨年の残業時間は、月平均で40時間弱、でした。
日本全体の平均残業時間が24.9時間のようなので、約1.5倍です。
大体1日平均2時間は残業していることになります。
SEは残業多い、というイメージがあるようですが、そのイメージほどではないかな?
ぶっちゃけ、子供を通わせている保育園の先生のほうが、勤務時間は長そう(汗)
出勤の場合、通勤時間も含めると、家に帰宅するのが平均8時半くらいになってしまうので、子育て的には平日はほとんど戦力になりません(汗)
ただ、最近はテレワークも増えてきて、テレワークなら通勤時間なしなので、子育て的にも十分戦力にはなります。
これでも、4~5年前に比べると減っていて、4~5年前は月平均50~60時間は残業していました。
直近数年の残業が減ったのは、働き方改革の影響が大きいです。
今年度は新型コロナの影響があり、在宅ワークメインになったので残業時間は更に少なくなる見込みです。
多分、どの大手SIerも残業は同じように減っていく傾向にあるのではないでしょうか?
プライベートも大事にしたい私にとっては、大変ありがたい状況です(笑)
ただ、残念ながら休日出勤は多いです。
理由は、休日にしかシステムの更新ができないことが多いためです。
何故かというと、システムを使っていないのが休日しかない、という企業が多いので、必然的にシステム更新は休日作業になってしまいます。
一応、代休は取れるのだけど・・・、平日は代休関係なく、システムの問い合わせとかの電話が顧客から来るので、あんまり休んでいる感じはしないっすね(汗)
SIerは本当に新3K(きつい、帰れない、給料安い)なのか?
ここまで書いたことを読んでもらえれば、少なくとも私は、3Kのうち、帰れない、給料安いには当てはまらない、ということが分かると思います。
帰れない、については残業が少ないわけではないので微妙ですが・・・
きつい、については、個人の感じ方によるところも大きいですが、残念ながら精神的に病んで離脱する人が多い環境ではあると思います。
私の所属している部署でも、把握しているだけで数名はいるし、他の同業他社の話を聞いても、同じような状況であるようです。
特に、入社数年目の若手~中堅が離脱しやすい傾向にあると感じます。理由は後述します。
SEが精神的に病みやすい理由
なぜ、精神的に病んでしまう人が多いのか?私は以下が原因と考えています。
- 納期のプレッシャー
- 技術習得のプレッシャー
- 品質のプレッシャー
納期のプレッシャー
IT業界の仕事は納期厳守が原則です。
理由は、決められた期日にシステムを納品できないと、顧客はシステムを使えずにとても困ることになるからです。最悪、損害賠償問題になります。
そのため、SIerではスケジュールを作って、各タスクごとに締め切りを細かく設定し、遅れていないかを管理する、ということを当たり前のようにやります。
理由なく遅れていると、「なんでこのタスク遅れているの?」という厳しい追及がくることになります(汗)
この納期のプレッシャーに負けてしまう若手が多いと感じます。
技術習得のプレッシャー
SEの仕事は、システムを開発するためには様々な技術を習得していかなくてはなりません。
技術の習得は、先輩が教えてくれることもありますが、SIerの場合、先輩が丁寧に教えてくれたらそれはラッキーだと思ったほうがよいです。
自分のタスクで必要な技術を先輩が知っているとは限らないし、仮に先輩が知っていたとしても、後輩に懇切丁寧に教える時間は、多分ないです。
先輩も忙しいからです。
そのため、技術的に詰まった場合、基本的には自力解決が必要になるのだが、これが苦手な人が結構な割合で存在します。
新しい技術を調べたり触ったりすることに興味を持てるかどうか、というところが大きいように思います。
品質のプレッシャー
システム開発をする場合、設計書を書いたりプログラムを書いたりするのですが、その品質が一定レベルに達していないと、厳しく追及されることになります(汗)
品質のプレッシャーは開発時だけではありません。
システム運用時にトラブルが発生して動かなくなってしまった場合、顧客から「なるべく早く復旧してほしい」と依頼がくることになります。
このトラブル対応が精神的にかなりキツい・・・
この品質のプレッシャーに負けてしまう若手が多いように感じます。
SIerの新3K(きつい、帰れない、給料安い)の実態
まとめると、
・「きつい」は、精神的にきつくなることが多い。
・「帰れない」は、残業は平均よりも多いが、無茶苦茶多いわけではない。
・「給料安い」ことはない。むしろ残業込みだと多い。
こんなところでしょうか。ただし給料(年収)については、勤務先によるところが非常に大きいです。詳しくは後述します。
SIer勤務SEの年収はどうやって決まるのか?
SEは技術職なので、技術(スキル)を身に着ければ、会社での評価が高くなり、年収も上がる、と他業界の方は思うでしょう。
それは違います。ぶっちゃけると
SIer勤務SEの年収は、勤務先会社でほとんど決まります。
要は、利益を上げているSIerに勤務しているSEは、年収が高い傾向にあります。
まあこれはSIerに限った話ではないか・・・日本企業にはよくあることです。
以下のページに、IT企業の平均年収ランキングが載っているので、参考にしてほしい。
これからSIerに就職、もしくは転職を考えている方は、上記ページを参考に、平均年収が高い企業を狙ったほうが絶対に良いです。
平均年収が高い = 利益を上げている = IT業界で強い立場にある
からです。
まとめ
SIerの年収や残業について述べてきましたが
・年収は高め(ただし企業による)
・残業は多め
・仕事は精神的にキツイことが多い
まとめるとこんなところでしょう。
個人的には、新技術を習得・勉強すること、納期のプレッシャーが苦でなければ、SIerは年収もまあまあなのでおすすめではないかと思います。
ただし年収は、述べてきた通り企業によるところが非常に大きいので、就職・転職の際にはよく見極めてほしいと思います。後で後悔しないように・・・
転職サイト紹介
もし、IT企業に勤めているものの、「仕事のわりに給料安すぎる!」ということであれば、転職を考えてみてもいいのではないでしょうか。
以下が転職サイトのリンクになります。
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