スバリストSEである私は、SIerと呼ばれるシステムインテグレータに十数年勤務している。企業規模は1000人~で中堅規模のSIerだ。
ネットでは、IT業界は新3K(きつい、帰れない、給料安い)とか
仕事内容がつまらない、すぐ脱出すべき、とか
SIerはブラックだ、多重下請け構造だ、とか、散々な評価をよく見かけるが(汗)
私としては、SIerはネットで叩かれているほど酷くはないと思うので、仕事内容について実体験をご紹介できればと思う。
SIer勤務SEはワークライフバランス的にはどうなのか?については別途記事をかいているので、以下を参考にしてみてほしい。

また、年収についての実態について書いた記事があるので参考にしてみてほしい。

そもそもSIerってなんなの?
SIerとはシステムインテグレータとのことで、システム開発・保守・運用に関わる業務すべてを請け負う企業のことを表している。
IT業界に携わったことがない人は、この説明では「?」という感じになるかもしれない。
もう少し具体的に話をすると
「日本の企業が、業務に必要なシステムを作って運用していきたいけど、自社で開発・運用するのは難しい。そのときに、SIerにお金を払って委託すれば、SIerがほぼすべてやってくれる」
大まかにいうと、SIerの役割はこんな感じだ。
日本の大企業には情報システム部門がほぼ必ずあるが、自社だけでシステムを開発・運用している企業はほぼないのではないだろうか?
大抵はSIerと呼ばれる企業が委託されて、開発・運用を行っている。
私が勤務している会社も、まさにそんな感じの仕事をしている。
SEの仕事内容は?
実は、SEと言っても、その役割は多岐に渡る。
- ITコンサルタント
- セールスエンジニア
- プロジェクトマネージャ
- ITアーキテクト
- アプリケーションエンジニア
- データベースエンジニア
- ネットワークエンジニア
- セキュリティエンジニア
- サーバ(インフラ)エンジニア
- プログラマ
- サポート(カスタマー)エンジニア
ざっと思いつくだけでもこれだけの役割がある。
SE(システムエンジニア)というと、プログラムを作る人、というイメージがあるかもしれないが、実はプログラムを作るというのは、SEの役割のごく一部でしかないのだ。
まあ、プログラムを作らないとシステムは動かないので、ごく一部といっても、そこを軽視してはいけない、と私は常々思っているのだけどね。
上記役割の中で、SIerが特に重要視する職種が
- プロジェクトマネージャ
- ITコンサルタント
と感じている。
プロジェクトマネージャ
SIer勤務のSEの最終キャリア到達点の一つとなる(管理職は除く)
プロジェクトマネージャの役割を簡単に説明すると、「プロジェクトの全責任を持ち、運営を行う人」と思えばよい。
- 顧客折衝
- プロジェクトメンバ管理
- 進捗管理
- プロジェクト方針の決定および判断
このあたりをメインに実施することになる。精神的にキツイが、やりがいはある仕事だ。
なぜSIerが、プロジェクトマネージャを重宝するのか?
それは単純、プロジェクトマネージャの立場になったほうが売り上げが稼げるためだ。
あと、大規模SIerになればなるほど、大規模システムを構築する機会が多くなるので、まとめ役が必要、という理由もある。
なぜプロジェクトマネージャのほうが売り上げが稼げるのか?
IT業界が、多重下請け構造になっているためだ。
IT業界は、大規模プロジェクトになればなるほど、元請け、二次受け、三次受け、、、のような下請け構造となる。
元請けは、NTTデータとか、富士通とか、IBMとか、誰もが知っている企業になることが多い。
私が勤務している会社は、それら超大企業よりは一段階落ちる企業なのだが、ギリギリ元請けの仕事はできる。
だが、二次受けの仕事もあるので、両方の立場を理解しているつもりだ。
元請け企業は、顧客と直接契約し、その結果、全発注額を稼ぐことが可能だ。例えばプロジェクトの発注額が1億だった場合、元受けは当然1億を稼ぐことができる。
ただ大規模プロジェクトの場会、元請け企業だけでプロジェクトの全工程を実施することが難しい。
上述の通り、SEの職種は多岐に渡るため、大企業といえど、すべての職種のSEを抱え続けることが難しいのだ。
ということで、元請けは中間マージンをキッチリ確保した上で(ここ重要!)、工程の一部分を二次受け企業に発注する。例えば1億のうち、5千万を発注する、というイメージだ。
二次受け企業は、中間マージンをキッチリ確保した上で、更に工程の一部分を、三次受け企業に発注する。例えば5千万のうち、2千万を発注する、、、
と、こんな感じの構造になっているのだ。
ということで、元受け企業は、プロジェクト全体の発注額を確保しつつ、プロジェクト管理を行う必要があるので、プロジェクトマネージャの役割が重要となる、というわけだ。
ITコンサルタント
ITコンサルタントも、SIerの中では重要な職種だ。こちらもSIer勤務SEの最終キャリア到達点の1つになるだろう。
ITコンサルタントとは、顧客のビジネス、経営課題をITでどう解決するか、のコンサルテーションをする職種となる。簡単にいうと、顧客企業のITアドバイス役みたいな感じかと。
なぜITコンサルタントがSIerにとって重要か?これもまた売り上げのためだ。
顧客企業に、システムのコンサルを実施した結果、「これこれこういうシステムが御社には必要になりますから、構築しましょう」ということになり、そのまま自分の会社で構築も行う、という黄金パターンに持っていけるのだ。
プロジェクトマネージャの仕事も、仕事を受注しないことには始まらないので、受注まで持っていく、ITコンサルタントの仕事は重要、というわけだ。
SIerの仕事はつまらないのか?どういう人におすすめか?
さて、本題に入ろう。SIerの仕事はつまらないのか?
ぶっちゃけ、自分がどういう仕事をしたいのか、どういう立場で仕事したいのか?にもよるが、人によって向き不向きがあると感じる。私自身は結構やりがい持てて働けているが。
プロジェクトのトップの立場として働きたい場合にはおすすめ
SIerの一番の醍醐味・やりがいは、プロジェクトマネージャとなり、トップの立場でプロジェクトをコントロールできる、というところだろう。
大規模プロジェクトだと、プロジェクトメンバが10人~になることもザラで、さらに下請けの別会社もコントロールしなくてはならないパターンがある。
そういう、リーダー的な役割にやりがいを感じる人は、おすすめだろう。
高年収を目指したい場合にはおすすめ
これは、仕事内容というよりは待遇面についてだが・・・・
別記事でも書いたが、IT企業の年収は、大規模SIerであればあるほど、高い傾向にある。高い年収を目指したい場合は、大規模SIerへの就職をおすすめしたい。
私は30代で、最大手SIerからは一段階落ちる企業だが、年収は700万円台とまあまあだ。最大手SIerならば、30代で年収800~900万円台も普通に狙えるようなので、仕事内容はともかく、年収重視!という方にはおすすめできるだろう。
特定分野の技術を極めたい人には、おすすめできない
こちらは、逆におすすめできないパターンの紹介だ。
SEというとエンジニアなので、中には技術を極めたい!と思ってSIerに就職してくる人が、少なからずいる。
例えばプログラミングスキルを極めたい!とか、データベースやネットワークを極めたい!という人だ。
上述したが、SIerで重宝されるのは、まずプロジェクトマネージャ、次点でITコンサルタント(仕事を受注できる人)だ。
企業にもよるが、SIerでは、特定分野の技術を極めた人、というのは、意外にもポジションがなく、あまり重要視されないし、そういった仕事もあまりないのが実情だ。
自分の会社だと、設計、プログラミングなども多少は社員にやってもらう機会は作るが、それはあくまでもプロジェクトマネージャになるまでの修行というか、経験値として各工程を経験するという意味合いが強い。
なので、例えばプログラミングのスペシャリストになってほしい!というのは、会社としては求めていない、と感じる。
自分の会社にも、技術を極めようと思って、辞めていった人、辞めようとした人が何人いたことか・・・。
なので、特定分野の技術を極めたい人は、SIerではなく、そういう製品とかサービスを作っている会社に就職したほうがよい。例えばデータベースならOracleとか、ね。
SIerの仕事のやりがいについては、以下記事にもまとめたので参考にしてみてほしい。

SIerのSEはどういう人が向いているのか?
SIerのSEは、どういう人が向いているのか?
上述の通り、特定分野を極めたスペシャリストよりも、幅広い分野をそれなりに習得したジェネラリスト、が向いている傾向にあると思う。
あと、顧客と折衝したり、顧客や社内メンバに論理的に説明したりすることが日常茶飯事なので(というかプロジェクトマネージャの仕事の大半がそんな感じ)、以下のスキルが重要となる。
- 他人に論理的に分かりやすく説明するスキル
- わかりやすい資料を作るスキル
- 顧客のビジネスや業務知識を習得するスキル
・・・なんかエンジニアっぽくないな!と感じた方、その通りです!
とはいっても、プロジェクトメンバの話を聞いたり、顧客説明したりするのに、一定の技術力はいるのだけどね。
もし、IT企業に勤めているものの、「仕事内容が自分に合ってない!」ということを感じるのであれば、転職を考えてみてもいいのではないだろうか。
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