2022年に新発売された、ノートパソコンCPUのIntelとAMDについて
- Intel Core i7-1260P
- AMD Ryzen 7 6800U
を搭載したノートパソコンをレビューすることができましたので、性能比較をしようと思います。
性能比較したノートパソコンは以下の2台です。
- Lenovo Yoga 770i
- Lenovo Yoga 770 AMD
この2台は、CPU以外はほぼ同じ構成であったので、比較にはちょうどよいマシンでした。

PassMarkベンチマークスコア比較(電源接続時)
CPUベンチマークでは有名なPassMarkの電源接続時スコア比較をします。
AMD Ryzen 7 6800U

Intel Core i7-1260P

CPU | マルチコア | シングルコア |
Ryzen 7 6800U | 21461 | 3459 |
Core i7-1260P | 20778 | 3713 |
Ryzen 7 5800U | 18644 | 3108 |
Core i7-1165G7 | 11005 | 3142 |
今回比較対象のCore i7-1260PとRyzen 7 6800U以外に、1世代前のCore i7-1165G7、Ryzen 7 5800Uの実測値も記載しています。
もともと、AMD Ryzenはマルチスレッドのスコアが高く、Intelはシングルスレッドのスコアが高い傾向がありましたが、最新世代でもその傾向はあります。
個人的に、Intel第12世代の前評判がものすごく高かったので、AMD Ryzenのマルチスレッドスコアも超えるのでは!?と思いましたが、そこまでではなかったようです。
スコアを見る限りでは、Intel Core i7-1260Pがシングルコア優勢、AMD Ryzen 7 6800Uはマルチコア優勢です。
ただ1世代前のCore i7-1165G7と比較すると、両方とも抜群にスコアが高く、素晴らしいスコアでした。
バッテリー駆動時のスコア比較(PassMark)
AMD Ryzenは、バッテリー駆動時のスコアが落ちやすいということも言われていましたが、最新世代ではどうか?比較してみました。
AMD Ryzen 7 6800U
マルチ/シングル | 電源接続 | バッテリー駆動 |
マルチコア | 21461 | 22442(104.5%) |
シングルコア | 3459 | 3325(96.1%) |
Intel Core i7-1260P
マルチ/シングル | 電源接続 | バッテリー駆動 |
マルチコア | 20778 | 18840(90.6%) |
シングルコア | 3713 | 3071(82.7%) |
なんと最新世代では、AMD Ryzen 7 6800Uのほうが、バッテリー駆動時のスコアが高いという結果になりました。
これはもちろん、ノートパソコン自体の特性もあるかもしれませんが、「AMDのほうがバッテリー駆動時の性能が低くなる」は、もはや過去の話と言えそうです。
CineBench R23でのベンチマーク比較
PassMarkと並んで有名なCPUベンチマークのCineBench R23のスコア比較をします。
AMD Ryzen 7 6800U

Intel Core i7-1260P

CPU | マルチコア | シングルコア |
Ryzen 7 6800U | 11620 | 1481 |
Core i7-1260P | 9018 | 1799 |
Ryzen 7 5800U | 9276 | 1436 |
Core i7-1165G7 | 4122 | 1383 |
こちらもPassMarkと同様の傾向です。
Intel Core i7-1260Pがシングルコア優勢、AMD Ryzen 7 6800Uはマルチコア優勢です。
こちらも、1世代前のCore i7-1165G7よりもスコアが大きく伸びており、素晴らしい進歩だと思います。
実際のアプリを使った性能比較(PCMark10)
PCMARK10は、実際のアプリケーションを使用したベンチマークソフトで、実際にパソコンを使った時の作業快適性を計測するのに適しているといわれているベンチマークです。
比較結果を以下に乗せます。
AMD Ryzen 7 6800U

Intel Core i7-1260P

計測内容 | AMD | Intel |
トータル | 5675 | 5380 |
App Start-up Score(アプリ起動) | 8185 | 10233 |
Video Conferencing Score(Web会議) | 8286 | 7927 |
Web Browsing Score(Web閲覧) | 8139 | 9263 |
Spreadsheets Score(表計算) | 10801 | 7148 |
Writing Score(文書作成) | 6697 | 7935 |
Photo Editing Score(画像編集) | 10948 | 10689 |
Rendering and Visualization Score(レンダリング) | 7560 | 4598 |
Video Editing Score(動画編集) | 4370 | 4784 |
AMDとIntelのCPUでそれぞれ特徴があるなと感じます。
Intel Core i7-1260Pのほうが、アプリ起動・Web閲覧・文書作成など一般用途でのスコアが高いですが、AMD Ryzen 7 6800Uも十分に高いスコアです。
表計算、レンダリングなどマルチコア性能が活かされる内容では、AMDの強さが目立ちました。また画像編集もAMDのほうがスコアが高くなりました。
ただ体感としては、ブラウザでワードプレスでブログを書く程度の負荷であれば、AMDもIntelも、ほとんど差は感じず、どちらも極めて快適です。
Davinci Resolveでのyoutube動画書き出し時間
動画編集ソフトDavinci Resolveで、4分のフルHDのyoutube動画書き出し時間にかかった時間を計測しました。
CPU | 時間 |
AMD Ryzen 7 6800U | 1分18秒 |
Intel Core i7-1260P | 1分28秒 |
AMD Ryzen 7 5800U | 1分56秒 |
AMD Ryzen 7 5800Uも書き出し速度はそれなりに速かったですが、Ryzen 7 6800Uと、Intel Core i7-1260Pはさらに速いです。
このスピードならフルHDの動画編集であれば十分対応可能でしょう。
若干ですがAMD Ryzenのほうが書き出しスピードは、速いようです。
バッテリーの持ち時間比較
CPU消費電力のめやすになる、TDP値(熱設計電力)を紹介します。
CPU | TDP |
Ryzen 7 6800U | 15-28W |
Core i7-1260P | 28-64W |
Ryzen 7 6800Uと、Core i7-1260Pでは、Ryzen 7 6800Uのほうが消費電力が優れるという結果になっています。
また、同じ71Whrのバッテリー容量を持つLenovo Yoga 770と770iで、バッテリー駆動時に何時間利用できるかを同条件にて計測しました。
- 輝度MAX
- YouTube動画流しっぱなし
CPU | 時間 |
AMD Ryzen 7 6800U | 6時間30分 |
Intel Core i7-1260P | 4時間15分 |
Yoga 770は有機ELなので、輝度MAXでYouTubeをずっと流しっぱなしというのは、消費電力的にはかなり負荷のかかる状況ですが、大きな差が生じました。
AMDの消費電力効率の高さは相当なものがあります。
ノートパソコン起動時間比較
Lenovo Yoga 770と770iで、ノートパソコン起動時間を比較してみました。
CPU | 起動時間 |
AMD Ryzen 7 6800U | 約11.5秒 |
Intel Core i7-1260P | 約9.2秒 |
PCMark10のアプリ起動のスコア通り、Intelのほうがアプリ起動は若干ですが早いようです。
グラフィック性能比較
最新世代IntelとAMD Ryzenのグラフィック性能を比較します。
ゲーム用のグラフィック性能スコアを表す指標として有名なSteamの3DMark Fire Strike のスコアを紹介します。
AMD Ryzen 7 6800U

Intel Core i7-1260P

グラフィックボード | 3DMark Fire Strike |
GeForce RTX 3080 Ti | 38323 |
GeForce RTX 3080 | 36176 |
GeForce RTX 3060 | 20764 |
GeForce RTX 3050 | 14877 |
GeForce GTX 1650 | 9047 |
AMD Ryzen 7 6800U(CPU内蔵) | 6666 |
Intel Core i7-1260P(CPU内蔵) | 5010 |
Intel Core i7-1165G7(CPU内蔵) | 4200 |
AMD Ryzen 7 5800U(CPU内蔵) | 3276 |
CPU内蔵グラフィックスだと、最新のRyzen 7 6800Uが優勢であることが分かります。
めやすとしてはGeForce GTX 1650がエントリー向けグラフィックボードで、これくらいの性能があればある程度の3Dゲームが実施できます。
AMD Ryzen 7 6800UのCPU内蔵グラフィックスだと、GTX 1650には届いておらず、重たい3Dゲームは難しいですが、Ryzen 7 5800Uの倍以上のスコアになっており、伸び幅が素晴らしいです。
ドラクエⅩなどの軽量3Dゲームや、2Dゲームであれば問題なく遊べます。
ちなみにCPU内蔵グラフィックスの場合、性能を十分に引き出すためにはメモリはデュアルチャネル構成であることが必須です。
たとえばメモリ8GBの場合、4GB×2であることが必要です。
デュアルチャネルでないと、グラフィックパワーは、本来の約半分程度の性能しか引き出すことができないようです。
そのためCPU内蔵グラフィックのみで、ゲーミング用途で使いたい場合、デュアルチャネルであるかどうかをよく確認しましょう。
価格(コスパ)比較
Lenovo Yoga 770iと770 AMDが、CPU以外のスペックがほぼ同じなので、価格比較をします。
CPU | 時間 |
AMD Ryzen 7 6800U(Yoga 770) | 16.5万 |
Intel Core i7-1260P(Yoga 770i) | 15.5万 |
AMDとIntelだと、2021年はAMDのほうがコスパ優勢でしたが、最新世代で見るとIntelのほうがコスパ良い?結果となっています。
確かにAMD Ryzen 7 6800Uは、搭載されているノートパソコンが2022年は少なかったですし、コスパもいまいちのような・・・?
AMD Ryzen 5 5625Uなどはコスパ抜群なのですが6800Uは違うのかもしれませんね。
Intel Core i7-1260PとAMD Ryzen 7 6800Uの比較結果まとめ
比較結果をまとめます。
比較して優勢であったほうに〇をつけました。
比較内容 | AMD | Intel |
ベンチマーク(シングルコア) | 〇 | |
ベンチマーク(マルチコア) | 〇 | |
ベンチマーク(バッテリー駆動) | 〇 | |
起動時間 | 〇 | |
Web閲覧 | 〇 | |
表計算 | 〇 | |
文書作成 | 〇 | |
画像編集 | 〇 | |
動画編集 | 〇 | |
バッテリーの持ち時間 | 〇 | |
グラフィック性能 | 〇 | |
コスパ・ラインナップ | 〇 |
正直なところ、体感上はどちらも極めて快適なので、どっちを選んでもOKという感じがします。
ただバッテリーの持ちは、AMD Ryzenのほうが大きく優勢であったので、モバイル用途であればAMD優勢でしょう。
個人的には、モバイル用途で使う機会が多い、かつゲーミング性能が高いAMD Ryzenがいいなと思います。
今回比較対象として使用したマシンは、Lenovo Yoga 770と770iです。
有機ELを搭載し、ボディや性能も高品質なのでとてもおすすめのノートパソコンです。
Lenovo Yoga 770i
レビュー記事を以下に書いていますので参考にしてみてください。

